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価値の共有こそが誠の家族(兄弟)交流の基礎を築く

ライセンスメイト篇

平成19年3月号「祝辞 台湾慰霊訪問の旅によせて」

 実に様々な皆様のご縁とお陰で今日まで続けてくることが出来た台湾慰霊の旅ですが、目を転じて将来展望について語ってみたいと思います。

 まずはじめにこの企画は百%民間主体であるということです。わが国の公的機関から一円の予算措置も講じられておりませんが、これが私たちの団体の健全性を将来に亘っても担保する必要にして最低限の条件であると思います。名もない市井の人の依頼心なき善意の結集がどれほど強力な力を発揮するかが鮮明に把握できる環境の構築保持こそがこの慰霊訪問の原動力であるからです。

 次にこの団の目的はあくまで大東亜戦争で亡くなられた台湾人元日本兵軍人軍属三万三千余柱の慰霊におくということです。かつてわが国の国民として、わが国のために戦い尊い命を落とされた台湾人の皆様の勲を、戦後の日本人である私たちが現地・台湾で顕彰するというところがポイントであると思います。

 過去、幾世紀にも及ぶアジアにおける欧米列強(白色人種)による植民地支配の軛から、黄色人種を解放するという世界史的な偉業に貢献した彼らを、私たち・日本人が発掘し顕彰し続けなくて一体誰がこの作業をするのか、私はこの間題意識と使命感こそが団の魂と思っております。

 最後に家族交流・兄弟交流について一言申し上げます。私たちは現地の人々と一緒に慰霊祭を執り行いますが、ともすると戦死者を「犠牲者」として把えがちな現代の風潮とは逆に、お国のために、そして共通の目的のために殉じた「英雄」として顕彰してきております。かくあってこそ慰霊祭の場は、私たちが彼らと同胞の契りを結ぶ格好の機会になり得るのです。ここから両者の間に家族交流・兄弟交流の関係が芽生えるにはさして時間はかかりません。団の目的からして必然的結果といえばそれまでですが、両者の関係はここまで昇華させなければまごころの交流はないと思います。

 この団を組織してはや九年。台湾へ足を運ぶ度に思うことをまとめとして簡単に列記します。

 一つは、支那(中華人民共和国)は事ある毎に台湾は中国の領土の一部である、と声明しているが、わが国に来て恫喝外交をして金をせびる国と、わが国と一緒になって戦いながら何の見返りも求めず親日的に接してくれる国(台湾)が同じ国である筈がありません。

 二つは、英米蘭に宣戦布告し、戦いに決起した事に何ら口を差しはさまない台湾。しかし、わが国・日本が「負けた事」をしきりに悔しがる台湾。そして、日本人が「台湾を放棄し、引き揚げてしまった事」を寂しそうに語る台湾。統治時代五十年間に構築した膨大なインフラを大切に活用し、わが国と共にアジアでも驚異的な経済発展と民主化をなし遂げた台湾。

 それが故に共産党による独裁国家支那・中国から一方的に領有宣言された台湾(反国家分裂法)。

 三つは、お互いにたった一つしかない命を的(まと)に、大東亜の解放という大業に生死を賭け、世界史のうねりを大きく変えた若かりし日の実績を正しく認知し、その価値を共有することこそが誠の家族交流・兄弟交流の基盤を構築していくものと確信し、私たち訪問団は今年もわが国を代表し、この行事を実行していく所存です。読者諸氏の変わらぬご教示、ご支援をお願いする次第です。