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“如何なる堅艦快艇も人の力に依りてこそ 其の精鋭を保ちつつ 強敵風波に当たり得れ”「艦船勤務」

ライセンスメイト篇

平成19年12月号「祝辞 社会人部門卒業式によせて」

 今年・平成19年の10月29日、福岡市庁舎に隣接する「ふれあい広場」は5,000人にのぼる人垣で埋め尽くされた。月末の、しかも日没後の6時過ぎにもかかわらず、そして又、急遽決められた行事ゆえ不充分な告知活動であったにもかかわらず、人から人に伝えられた情報によって陸続と人々は集まってきた。

 平成17年3月の福岡県西方沖地震によって被災した玄界島御慰問の天皇皇后両陛下を奉迎するために、提灯行列を企画した一民間団体の呼びかけに、これだけの人が「国民として」応じてくれたのだ。主催者が準備した3,500個の提灯や「二の備え」として用意した1,000本の日の丸の小旗も全て配布し尽くしたという。

 なにゆえこれほどまでに人々が狂喜し奉迎したのかを私見を交えながら展開してみよう。

 わが国は斉明天皇の御代の白村江の戦い(663)に続いて、史上2度目の敗北を喫したのが昭和20年(1945)の大東亜戦争であった。独伊と枢軸を組み、英米を中心とする反枢軸陣営(後に「連合国」と呼称)と国家国民の総力をあげた死闘を展開、ついに東亜を欧米白色人種の植民地支配から解放するという戦争目的を達成(勝利)したが、軍事的には敗北。

 しかし、天皇陛下をはじめとしてわが国の指導部は、①政権を投げ出さず②雲隠れもせず③そしてドタン場でも命乞いをせず、悠久の歴史を誇る国体を護持したのであった。まさに大化改新(645)以来、永々と培われてきた君民一体の精華が遺憾なく発揮された一瞬といっていいだろう。国家国民の尊厳と皇軍の名誉はかくして守られた。上下(しょうか)一致という世界にも類稀なる君民関係で結ばれてきたわが国体の頂点に立たれているのが天皇陛下であり、それが故に私達国民はこぞって両陛下を心からお慕いし、奉迎するのである。

 皆様方が苦労され取得された資格を駆使されればされるほど、それがより強固で広範な人間関係の構築という形で結実されんことを祈念します。

 「艦船勤務」の一節ではありませんが、人生最後に頼れるのはペットでも観葉植物でもありません。それは人でしかないのです。

 それだけに人との出会いを大切にされ、自らは①投げない②逃げない③命乞いをしない、の心掛けをもって国家と業界、そして学校と家門の名誉を守っていって下さい。

 必ずや多勢の皆様のご支持・ご支援を受けられるようになるはずです。

 本日の門出をお祝いし、餞の言葉といたします。