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国と地域と業界の防人としての自覚と使命感を

ライセンスメイト篇

平成22年12月号「祝辞 社会人部門卒業式によせて」

九州不動産専門学院を昭和55年に開校し、今年で31年目となります。この間、実務に携わる人材の育成にかかわらせていただきましたが、不動産業における土地とは外でもない国土であります。私たち学院グループに連なる職員が日々働く目的を「人をつくり、町をつくり、国をつくる」としているのは、まさに国益にのっとり国土を扱う専門職を育成しなければならないからであります。

 ご存知のように対馬市や五島市では韓国人や中国人による土地買い上げが現在も進行しておりますが、土地取引のことを考えれば、わが国は世界でも有数の個人の土地所有権が保護されている国です。それゆえ国土である土地が一旦外国人の手に渡ってしまった場合、なかなか取り戻すことができないのが実情です。わが国は外国人に対する売買規制、権利停止、所有権の取り上げなど何もない、世界でも稀有な国なのです。そのため本気でわが国の土地を、あるいは山林原野を買われたら手の打ち様がなくなってしまいます。

 土地売買の最大の歴史的事例といえば北米大陸のアラスカが思い浮かびます。国家財政に困窮した帝政ロシアが新生国家アメリカに売却したケースで、もしこのようなことがなく、アラスカが後のソ連の時代もロシアのままだったら、アメリカは到底あの冷戦に勝利できなかったはずです。ですからクレムリン(旧「ソ連」指導部)は自国の先輩の浅はかさを相当悔やみました。しかし、これを決して対岸の火事視してはいけません。脇の甘い取引をしようものなら、またたく間にわが国も二の舞を演じることになるのです。

 例えば山林原野にしても、植林の慣行や伝統のない中国人にでも売却しようものならまたたく間に禿山になること必定です。保水力はなくなり、それこそ鉄砲水や土砂崩れ等が頻発し、長期的には彼らが自国の土地をそうしてきたように砂漠化の道を歩むのです。

 また、中国人の意向を受け環境ビジネスに名を借りた水資源の買い漁りの影も後を絶ちません。ちなみに飲める水道水を供給できる国は全世界で8ヵ国のみ(ヨーロッパではドイツ1国)。その恩恵に与かれる人は3億2千万人で、その内の4割弱をわが国が占めており、飲料水だけでいえばこの世の楽園であることに気づいて戴きたいのです。そのパラダイスに今、狼たちが群がってきています。水道水を一晩寝せて、ミネラルウォターとして販売する業者が次々と現れるのも悲しい現実です。

 このように国益を害する事も、もとはと云えば個々の取引で「国民としての判断」がなされていないから発生してしまうのです。ですから皆様には、単なる土地(=商品)という考え方ではなく国土を守る防人としての自覚と使命感を持った不動産のスペシャリストになっていただきたいと念願する次第です。生活や事業の継続と安定化のために業績を上げなければならないのはやまやまなれど、どんなに貧しくても自分の妻を身売りさせないだけの矜持を男子たるもの持たなければなりません。

 私の好きな言葉は『武士は喰わねど高楊枝』です。身勝手な思いですが、学院グループの卒業生にだけは魂を売る事業家や国土を敵国に斡旋するような売国奴には絶対なって欲しくありません。

 私どもは今後とも「不動産、法律、建設関連国家資格の専門学校」として、「国と地域と業界の防人」を育成して行く所存です。御指導・御鞭撻の程、よろしくお願いいたします。本日は誠におめでとうございます。