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“苦しくと すぐ道を行け 九曲折の 末は鞍馬の さかさまの世ぞ”「島津いろは歌」

ライセンスメイト篇

平成23年12月号「祝辞 社会人部門卒業式によせて」

 皆様方の御厚誼、御厚情のお陰をもちまして昭和55年に創立しました九州不動産専門学院も今年で32年の歳月を刻むことができました。

 福岡市中央区天神1丁目に位置する実学の学舎(まなびや)として微動だにせず今日まで継続してこれましたのは、入学して下さった受講生の皆様の連綿と続く立志と勉学の賜物以外の何物でもありません。働きながら学び、学びながら働く皆様のための母校として建学された本学院〔ならびにグループ校〕で合格された方は12月1日現在で本年度302名、累計11,249名です。

 こう書きますと何となく自然に入学が保証され、順風満帆で合格者を出しているような感じに受けとられる方も多いと思います。しかし①募集プランを練って様々な媒体に表現する、②講座案内発送の対象先を選定する、③予め電話をかけて発送させていただく旨のご了解をいただく、④会場や教室を準備し、講師の先生を確保する、⑤教材を選び仕入れる、⑥準備した会場や教室に見合う数の生徒さんを募集する、⑦入学していただいた生徒さんに開講案内を送る、⑧電話で出席の勧奨をする、⑨願書の手配をする、⑩受験番号を確認する、⑪出席率の低い生徒さんについてはDVDで教室講義を収録して送る、⑫合格発表は当日に把握する、⑬そのために各地に協力者を依頼する、⑭発表当日に各地から送られてきたデータと学院のストックデータとの照合検索を行ない合格者を特定する、⑮当日届くように祝電を手配する、等々。

 勿論これは沢山ある作業手順の一例を至極簡単に紹介しただけで、この裏には専門分野における不断の予習活動やいつ何時でも閲覧に耐えられるホームページの更新作業、教室を清潔に保つためのメンテナンス業務等が存在しています。そしてこれらの業務に生き甲斐をもって働いてくれる職員を育成するためのカリキュラムが延々と続きます。職場を全体で清掃することはいわずもがな、教育勅語や軍人勅諭を唱和し日本人としての生き方を体得し、五箇条の御誓文や宣戦の詔書、終戦の詔書を月に1回必ず全体で朗読し、国民としての国造りの心構えを新たにすることも大切です。厳しい経営環境を勝ち抜くためには孫子や島津いろは歌の学習も不可欠です。かくなる職場風土を作るために受講生と共に32年もかかった次第です。

 しかし、今まで述べてきましたことは一口でいえば「学院のため」の業務であります。昭和55年3月の創業から昭和60年12月までの5年と10ヶ月はたった一つの例外を除いてすべてその範疇の仕事であり、行事でした。新入社員歓迎会、社員旅行、誕生会、新年会、忘年会、懇親会等枚挙に暇がありませんがすべて共同体である学院の結束と親睦を図るためのものばかりでした。

 それではその例外とは一体何だったのでしょうか。それは昭和60年12月に開催した「合格者祝賀会」です。結果として本日のこの催しの第1回目となりましたが、それは数ある受験指導校の中からあえて本校を選んで下さったことへのささやかなお礼の意味でもあり、入学時の初心を貫徹され合格の栄冠を勝ち取られた喜びを共にさせていただき、新しい門出をお祝いし、激励したいという気持ちを形にしたものでした。

 省みますれば、赤面するほどぎこちなく拙いものでしたが、たった1回のこの試みが同窓会「九栄会」の誕生につながりました。「学院のため」ではなく「私たち(=合格者)のため」の集いなのだと生徒さんが実感された瞬間です。それからは参加された皆様を通じて「この学校は私たちの合格を本当に喜んでくれているのだ」というメッセージが、当日お出でいただけなかった方にも深く静かに浸透するのにさほど年月はかかりませんでした。

 因みに昭和60年12月の合格者祝賀会を起点としますと、本日のこの会は第27回目に当たり、関連行事も含めますと何と321回目になります。その間唯々合格者・卒業生の皆様のために粛々と催しを続けてこられた九栄会の皆様には本当に頭が下がります。

 その九発会を中心とするかくも多勢の皆様の祝福を受け出立される合格者・卒業生の皆様の今後益々のご健闘をお祈り致します。