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日当を戴いて受講し就職する

フェイスブック篇

平成27年5月4日

失業対策事業の一環として再就職支援講座が世に出て一体何年になるかは定かでないが、私は昔の失対事業の時代の方がはるかに良かったと思っている。長期に亘って徴収された雇用保険料を財源にしたこのプロジェクトに胡散臭さを感じていたので馬耳東風を決め込んでいたが、15,6年ほど前に、とあるパーティで厚生労働省の担当官から熱心に懇願され参加する羽目になってしまった。

講座生には授業を施すが欠席の場合は本人への日当は支給されない。しかし医師の診断書を添付すればこの限りにあらずで支給される。そしてこれを悪用した人がいた。失業というよりも自己都合で勤務先の病院(総務課)を退職した彼は、そのとき病院の印鑑と診断書の束を盗んでいる。なんと同じクラスの講座生相手にこの診断書を発行するビジネスを始めた。同一病院から発行される診断書の多さに不審を抱いた厚生労働省(外郭団体)が警察に通報したか否かは定かでないが、警察から聞き込みがあった。講座生の前職を把握してない私は何のことか分からない。

時は過ぎて警察は全貌を把握した。しかし病院側は世間体を気にして被害届を取り下げた。それを受けて厚生労働省(外郭団体)も問題にしなくなった。また警察は被害届が取り下げられたので事件に出来なくなった。残るは教育施設の長である私の判断だけになった。

被害届が取り下げられたからといって、また事件でなくなったからといって、一体こんなことをする人を学校が太鼓判を押して再就職させられるだろうか。私は彼を退学処分するのに何のためらいもなかった。しかし翌年からこのプロジェクトを受注するには教育施設の長が「過去1年間に県が主催する人権学習を受講した実績」が加えられることとなった。法律で定められていない学習の受講を受注する側の資格要件に加えてまで守ろうとしているものとは何なのだろうか。

今から4,5年前のことを振り返って書いてみたが、事の本質は現在に至るも全く変わっていない。県が主催する人権学習とやらを受けたこともなければ、今後受ける気もない人を敵に回してまで実行しようとする「再就職支援講座」とは一体何なんだろうか。