【立ち退きをいわれたら(その1)】有言実行 | 九州不動産専門学院グループ


 

立ち退きをいわれたら(その1)

ライセンスメイト篇
平成10年4月号「サイレントマジョリティ」
はじめに
 今回のサイレントマジョリティは都心部、周辺部を問わず、今や広域で進められている再開発事業についての投書を掲載させていただいた。多くの人は対岸の火事視していることだろうが、本質的には明日は我が身の環境がいつわらざる今日の日本だ。この投書により1人でも多くの読者諸氏が再開発事業等での立ち退きに対してしっかりとした心構えが出来ればと編集部一同願ってやまない。
 さて、再開発事業により立ち退きを迫られた時は、次の原則をもって対応することである。

その1〈協力原則〉
 納得のいくまで話し合い、正しい目的であればすすんで協力の姿勢を示すことである。この場合のポイントはあくまでも再開発の趣旨に対する納得であって、決して補償に対する納得ではない。

その2〈損失回避〉
 しかし、立ち退く側は協力することで「損」をするわけにはいかない。とりわけ事業を営んでいる人は「逸失するであろう売上」をよく計算することである。そして、通常、本業を継続させながら(=継続努力とそのための投下時間を減らすことなく)、この計算をすることは不可能である。よって、できるだけ専門家にご相談されることをおすすめする。

その3〈固定費の確保〉
 立ち退きによって多くの場合「売上」は目減りする。これを「得意先喪失」という。しかし、売上が目減りするからといって今までかけてきた「固定費」を一刀両断のもとに減らすことができないのが経営者にとって頭の痛い問題である。それ故に、固定費を確保することが必要になってくるし、当然それは、(固定費の)土台たる売上の確保(=補償)になってくる。

その4〈来店客依存型の経営〉
 事業によってはお客様においでいただくことによって成り立っているケースがあるが、この場合は移転によって売上にかなりのダメージが予想される。ディベロッパーから斡旋された場所で再スタートしてうまくいったケースはほとんどないのではないだろうか。

その5〈現金前受型の経営〉
 また、単に売上といっても「現金前受型」、すなわち「商品後提供型」の場合は、一寸話が複雑になる。なぜならば、その場所での商品提供を約束しての現金前受なので、現在地からの立ち退きは、顧客の側からすれば、より利便性の高いところへの移動(プラス移動)のみが容認できることであり、逆のケース(マイナス移動)の場合は、商品提供者は相当のトラブルを覚悟しなくてはならないだろう。

その6〈商品提供の絶対性〉
 その場合(マイナス移動)の解決方法は①商品の提供が約束通り履行することが不可能になったとして前受金の一部または全部を顧客に返還するか、もしくは②現在地の周辺であらたな場所をたとえ仮設の形でも確保して商品の提供に支障のないようにするしかない。いずれの場合にしても、これらの費用はディベロッパーが負担すべきである。

その7〈売上の目減率〉
 移転による売上の目減りはそう簡単には予測できない。しかし、それでは話が前に進まないのであえて予測することにしよう。現在地の店舗面積をA、斡旋地のそれをB、集密度では現在地をC、斡旋地をDとすると、目減率は以下のようになるだろう。
(1-(B÷A)×(D÷C))×100
 これに根拠となる現在地の事業による売上を乗じれば答えは出るはずだ。この場合の売上とはあくまで決算書を原典・出典とすべきであろう。なお、来店客依存型の事業では、この考え方は不可欠といえるだろう。

その8〈未来への責任〉
 以上のような事情からして従来と同様の事業が営める場所の斡旋をディベロッパーに依頼し、気にいった場所が見つかるまで辛抱強く待つことが必要とされる。補償金をいただいてあわてて立ち退き、それなりに見栄えのいいところで再スタートできたとしても来店客依存度の高い事業は、閑散としたところではあえなくダウンということにもなりかねない。自分一人だけの人生ならいざ知らず、家族や社員、そしてなによりもそれまでに蓄積された莫大な顧客をかかえているということを忘れてはいけない。すなわち、経営者とは過去の継承と現在の推進のみならず未来への責任をかかえているということを片時も忘れてはいけないということだ。

その9〈共存共栄〉
 官庁主導であれ、民間主導であれ、再開発事業とは長期的収益計算を何回もした上で、結果を黒とはじき出したがゆえに開始されると思いたい。およそ事業とはすべからく共存共栄をたてまえとしている。だから、事業主体のみならず協力主体の側もしっかりと、「存」と「栄」を追求していいのだ。決して事業主体の側だけの片存片栄であってはならない。
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