【立ち退きをいわれたら(その2)】有言実行 | 九州不動産専門学院グループ


 

立ち退きをいわれたら(その2)

ライセンスメイト篇
平成10年5月号「サイレントマジョリティ」
その10〈情報の公開〉
 現在地で事業を営まれている方は、社員と顧客に対してさしさわりのない範囲ではあっても積極的に情報を公開すべきだ。「流れ」は役員から管理職、そして一般職、パートタイマー、アルバイトへと、「場」は役員会等のいろいろな会合や、朝礼等の集まり、もしくは、掲示板を利用して逐一報告した方がよいだろう。
 情報の非公開はとかく、変な憶測や猜疑心の種にもなる。そして、そのことが営業業績に多大の影響を与えることにもなりかねない。情報を出来るだけ公開するようにして社員や顧客の動揺を未然に防ぐことも大切な経営のひとつである。

その11〈時間を味方にする〉
 この手の交渉にはあせりは禁物である。持ち時間の少ない方が交渉では負けである。何ヶ月でも何年でもじっと待っている方に必ず軍配はあがる。「時は金なり」というではないか。時間の投資が出来ないのは資金の投資ができない以上に悪い結果を招く。時間の投資こそがいい交渉結果を出せるのだ。両者ともたっぷり時間をかけてお互いに存し栄えていくようにしたいものだ。

その12〈記録を残す〉
 交渉のやりとりは全て記録に残そう。「私はこう希望します」も大切だが、「私はこう希望しません」の方がもっと大切なこともある。また交渉中にすべて言いつくすことが重要である。ハッキリ申し上げて「阿吽の呼吸」とか「以心伝心」などということを信じてはいけない。また、目は口ほどには物を言わない。当方が言いつくしたことだけが当方の主張や意思となり、それ以外はすべて先方の言い分や要求の承認と見なされると思っていい。あとから「ああも言っておけばよかった」とか「こうも言っておけばよかった」といくら嘆いてもはじまらない。
 そして、とにかくすべて記録に残し、先方にも都度渡して確認していただく位の余裕が必要である。

その13〈衆を頼むな〉
 ビルの再開発などは、複数のテナントが同時に立ち退きを迫られるのが通例だが、この場合、安易に反対のための組合や期成会などを作ることはおすすめできない。そういうことを、そそのかし、はやしたてる政党や団体もあるようだが、これはいけない方法である。なぜならば各テナントによって全く事情が異なるからだ。単なる「不満」や「反対」というマイナスのモチベーションで結びついている絆ほど脆弱ものはない。そのような「連帯」は満足した者から順次崩れて消えていく運命にあるからだ。また衆を頼むことにより、そのための会合や寄り合いも多くなり、それだけ本業に投下できる時間が減少していくからである。結局のところ足の引っ張り合いや、抜け駆け、裏切り等で泣きを見ることが多いようだ。ただでさえ、時間に追われている経営者の方はむしろこのような時こそ本業そのものに鋭意専念し、創業以来最高の業績を達成するよう全軍を奮いたたせるべきだろう。
 自助・自立・自存・自衛の姿勢と実践こそが自分自身も含めて事態をプラスの方向にかえていくのだ。

その14〈専門家の存在〉
 とかく、この手の交渉は感情が先走ることが多い。しかし、ここはどっしりと落ちついて専門家のご意見やアドバイスをいただきながら徐々に話を進めていくことである。①長期的視点にたった冷静さと②時間的なゆとり、ならびに③本業への高い専念度合が専門家の方のおかげで手に入れられるというものだ。専門家として、不動産鑑定士と公認会計士は不可欠だ。その上で更に問題がこじれそうな場合は弁護士に相談することも必要であろう。ここで意外と知られていないのが不動産関係の人だ。今まで立ち退かせる側だった方も人間関係さえしっかり出来ていれば反対の立場であればこその適確なアドバイスをしていただける。

その15〈中締めとして〉
 「正論」はひとつだけと思ったら大マチガイだ。再開発事業を推進する側も、またそれを受けてたつテナントの側もそれぞれ「正論」をもっている。要はしっかりとした正論同士を闘わせることだ。両者とも別に仇同士でもないわけだから、同じ日本人として共に国のために何が最善かという視点を確認し合いながら進めていけば最善ではないにしても次善の策ぐらいは必ず出てくるはずなのだ。決してあせらず、お互いに相手の意見を尊重し合いながらも、自己主張を十分にしていくことだ。あくまで紳士的に話し合いをしていくことだ。お互いに時間さえ犠牲にすれば他のことは犠牲にしなくて済むはずである。
 また、こういう機会を通して人間関係の絆を強くしていくことも忘れてはいけない。交渉の機会あるたびに人を失い信用を失堕していく愚だけは避けるようにしよう。あなたの交渉相手は10年先もあなたの隣人なのだから。
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