【背後から襲え、しかも一人の時を狙え】有言実行 | 九州不動産専門学院グループ


 

背後から襲え、しかも一人の時を狙え

ライセンスメイト篇
平成10年9月号「サイレントマジョリティ」
 時は第一次大戦、ドイツ空軍で目ざましい働きをした軍人にリヒトホーヘンという人がいた。自分の愛機を真紅の色で塗り固めて空中戦に出撃する様は敵に異様な恐怖を与えたという。しかし「レッドバロン(赤い男爵)」と呼ばれた責族出身の将校は突然空中戦で強くなったわけではない。
 リヒトホーヘンをレッドバロンならしめた彼の上官にベルケという人物がいる。問題の核心はこの人にある。ベルケは空中戦において遭遇する敵をせん滅するために「戦闘における必勝八原則」と呼ばれる法則性をうちたてたことでも有名だ。数々の空中戦を指揮し、自らもその渦中で決死の経験をした彼はまさにその中で生き抜くための鉄則をうちたてるに至った。
 順不同で若干列記すると「常に優位にたて」というのがある。空中戦とは文字通り空中を飛泳し合う者同士の戦いである。高度でいえば高い所をまず占めないと敵機を一望のもとには見渡せない。見られるよりも見れる立場をどちらが早く手中に出来るかがまずは決定的に重要である。ここに命がかかっているといっても過言ではない。
 次に重要なのは「一機を狙え」だ。多数の敵機を相手にしたらダメ。上手に一機だけをおびきだして、それを味方多数機で攻撃し撃墜するという算段である。要するに「衆寡敵せず」の状況を作り出す。
 更に「背後から襲え」という一項が加わる。徹底して正面戦を避け、相手のスキ、虚を突く戦法である。知っての通り、当時の戦闘機の銃口は正面を狙って設置されており、操縦士(兼戦士)はまずは敵を正面に見据えられる位置に自機をもっていって引き金をひくことになっている。そして、これは現在の空中戦でも一向にかわらない。だから敵機の背後に回るということが決定的なのだ。
 又、「一旦開始した攻撃は途中で絶対にやめるな」というのもある。これにはいろいろな意味があるが、重要なのは追撃をふりきり、生還させることによって必ず芽生える敵の自信を極度に恐れたことによる。最強の軍隊とは以下の三つの経験を積んだ軍隊である。「①勝った経験、②負けた経験、③そして生きのびた経験」、この三つの経験をしながらもなお部隊としての規律と組織律を維持している軍隊のことである。たいがいは①の勝った経験では軍隊としての体裁は保てても②の負けた経験によって崩壊することが多い。いわんや②の経験をさせたら、③の生きのびさせるのではなく、まさに「せん滅」することでピリオドを打たなくてはならない。だから、一旦開始した攻撃はそのピリオドまで絶対にやめるなとしたのである。
 以上、全てではないにしても若干列記しただけでベルケのうちたてた鉄則のリアリズムはおわかりいただけると思う。そのベルケに育成されたリヒトホーヘンが鬼神もおののく力を発揮したのはいわば当然の帰結であった。ついでに申し上げておくと、このリヒトホーヘンの部下にあのヘルマン・ゲーリングがいる。のちにニュールンベルグにおける報復裁判で絞首刑になった人物であるが、彼は恩師リヒトフォーへンの一機打ちの考えに「戦略爆撃」の思想を付加したことでも有名である。アメリカ空軍のルメイもしかりだ。
 幾星霜にもわたる治乱興亡の渦巻く中でうちたてられたこの鉄則の中にサムライの美学はない。「正々堂々」も「卑怯」もない。「名を名のれ」もなければ「武士の情」もない。ただあるのは冷徹な勝敗とそれによってもたらされる凱旋と葬送の明暗だけである。いい悪いは別としてこれが日本を取り巻く国際社会のルールといってよい。私たちは決して一面的であってはならない。ダブルスタンダード(二重基準)に習熱し、したたかに生き抜いていかなくてはいかない。国内で同胞に接する時はサムライの心でそれ以外はベルケの思想を心に秘めて力強く生き抜いていこうではないか。 
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