【夢の方舟に乗って その1】有言実行 | 九州不動産専門学院グループ


 

夢の方舟に乗って その1

博多独楽篇
平成12年12月号「私的経営のこころ 中小企業の生き延びる道(12)」
 1月号から中小企業が生き延びる道を私的視点から述べてきたわけだが、平成12年(2000)を締め括る言葉として、私は経営者の意思決定における“勇気”を挙げたいと思う。
 先日、同じブロックの新築ビルに会社を移転した。実は、その移転先である天神121ビル(天神1丁目3)は、32歳で私が会社を起こした時に、事務所を置いていた場所なのだ。創業が昭和55年であるから、ちょうど20年振りにもとの位置に戻ってきたことになる。しかも驚いたことに、以前私が座っていた所と全く同じ場所にまたデスクを置くことになった。ただ当時のフロアは2階であったが、今は最上階の13階。坪数も23坪から152坪に拡大した。
 こうなると当然、家賃も上がるし、経費もかかる。別段、会社の景気がよいわけでもなく、ましてやこの不況下になぜ?と思われる人もいるかもしれないが、時に経営者は、崖っぷちから飛び降りる覚悟で意思決定しなければならない。この移転は、私にとって一つの賭けなのである。生徒さんに資格を取得して頂き、更に人生のステップアップを図って頂くのが私たち学院職員の仕事であるだけに、人に夢を実現する意欲を奮い立たせることが大切だ。眼下に天神中央公園の緑が広がり、博多湾まで眺められる天神のど真ん中の現ビルの最上階と、路地裏の畳のにおいが染みついた木造一軒家とでは、どちらが夢を描くことができるだろうか。
 例えば、現ビルの家賃が300万円で古い木造一軒家はその家賃の10分1ぐらいとする。ここで、人の見る眼、つまり社会的評価から考えると、いくら貸借対照表が健全でコストダウンのためだと言ったところで、後者を選ぶ道は適切ではない。烙印を押された学院の生徒数は減り、コストダウン分を遥かに上回る売り上げダウンにつながることだろう。「武士は食わねど高楊枝」と言われるように、人に夢を与える場は、みじめでしみったれた場であってはならない。これは指導者や経営者にも言えることだ。
 私は、意思決定をしなければならない場面では、困難か容易かで判断するようにしている。決定事項に対して、右か左か、不味いか旨いかではなく、辛いか楽か、一人か大勢かの基準で選ぶ。そして、辛い、一人という困難な道を選択する。
 しかし、この決定にたじろぐ場合もある。その時は自分を徹底的に分析するのだ。困難に立ち向かえない原因は金銭的問題なのか、人材不足なのか、立地が悪いのか、あるいは集中の原則が貫徹されていないのか等々と。そして全てを消去法で消してゆく。それでもたじろぐ場合、最終的には勇気がないという結論に至る。だから、怖くても敢えて実行することにしているのだ。
 今回の移転に関しても、まさに清水の舞台から飛び降りるつもりで決を下した。この20年間、手狭なスペースの中で溢れればどこかに分室を設け、点在した業務形態の中、不便ながらも流浪の時代を生き抜いてきた。ゆえに体力、持久力、そして信頼が備わっているはずだ。崖っぷちからはもう何回も飛び降りているのだから、経験という落下傘も持っている。経営者としての勇気を示し、21世紀を迎えたいと思うのである。
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