【社員の長期入院は会社と人づくりの好機】有言実行 | 九州不動産専門学院グループ


 

社員の長期入院は会社と人づくりの好機

福岡2001篇
平成13年3月号「こころの経営ゼミナール」
 会社経営の〈人財〉である社員の長期入院ほど頭の痛い問題はない。まして、余剰人員を抱える余裕のない中小企業にとって、それは屋台骨を揺るがす一大事である

長期入院というハプニングは人づくりの〈最適の機会〉
 心ない会社は長期入院=退社というカードをちらつかせるところもあるし、仮に入院者が快復して職場に復帰しても、仕事の引継ぎや配分がうまくいかず、居づらくなって、自発的に会社を去らねばならないケースもある。われわれ中小企業の経営者はこのような悲劇の連鎖を断ち切らなければならない。
 私は社員の長期入院というハプニングこそ、社員と会社の結束を固め、人づくりの〈最適の機会〉と位置づけた。総勢30人足らずの当学院でも、これまで6人の社員が長期入院した。列挙すると、平成4年3月に女性役員〈当時42歳〉が子宮ガンで4ヶ月入院/平成5年3月に男性役員〈当時56歳〉が心筋梗塞で5ヶ月入院/平成7年5月に男性役員〈当時47歳〉が転落事故で2ヶ月入院/平成8年3月に女性職員〈当時21歳〉が白血病で18ヶ月入院/平成10年6月に女性職員〈当時24歳〉が交通事故で2ヶ月入院/平成15年3月に男性職員〈当時48歳〉が閉塞性動脈硬化症で1ヶ月入院(18年1月に1ヶ月再入院)である。
 いずれも退院後、職場復帰し元気に働いている。特に、白血病で入院した女性職員は、「会社の人たちの温かい心に支えられ、このままでは死ねない」と、現代医学でも不治の病といわれる白血病に打ち勝った。これは会社と〈人材〉を預る経営者として、まさに誉だ。

現有戦力で仕事を分担し復帰を待つのがベスト
 さて、長期入院の仕事上の問題点はいくつかある。なかでも大きなポイントは、①人材確保②前任者の仕事の引継ぎ③入院者とのコミュニケーションと復帰後の体制確立が挙げられるだろう。
 ①に関しては、中小企業にとってまさに頭の痛い問題だ。人材を急募して即戦力で気心の知れる、まさに“人財”を確保するのは、余力のない中小企業では不可能に近い。私にあるのは、社員と共に家族的な共同体(企業)をつくり上げるという〈信念〉だけだ。これに共鳴、共感してくれる“人財”は一朝一夕には確保できないし、育て上げられない。
 次に②の前任者の仕事の引継ぎ問題である。業務は片時も途切れさせるわけにはいかないが、たとえ在籍している別の者に業務を引き続がせるにしても、いきなり二人分の仕事を一人に押し付けるのは理不尽だし不可能だ。当学院の社員は夫々がプロ意識に燃えて密度の濃い仕事を責任を持ってしており、一人が引き継げる仕事量は自ずと限界がある。
 ①と②を同時に解決する方法は、新たに人員を増やさないで現有戦力で仕事を分担する以外にはない。前任者の業務を細分化して分析し、個々の能力と現在の仕事量を勘案して引き継がせるのである。
 しかし、これは言う易し、行うは難しである。往々にして起こる事は、引継ぎ者に処理能力以上の仕事を“押し付け”てしまうことだ。またそれぞれに引き継がせる仕事量の平準化も至難の技だ。それがうまく機能しなければ、やがて不公平感が鬱積し、共同体〈会社〉は内部から崩壊していくことにもなりかねない。

「お見舞い定期便」が円滑な職場復帰の鍵
 経営者は社員一人ひとりの資質、能力を把握し、つねに目を配らなければならない。社員の結束、人づくりをするのも経営者の重要な役割の一つである。③の入院者とのコミュニケーションと復帰後の体制確立は、まさにその集大成といえる。①と②は何とか乗り切っても、③はよほど強固な共同体でなければ難しいだろう。
 当学院の場合、当初は社員全員で入院の事態に対処するが、入院が長期にわたると判断した段階から入院者へ「お見舞い定期便」を走らせる。これは、入院者へ連絡を取る担当者を決め、週に1回、特定の曜日、時間に見舞いと連絡業務を兼ねるというものだ。
 通常、当学院では毎週木曜日の午後を「お見舞い定期便」に割り当てている。入院者は、毎週会社からのこの「定期便」を「心待ち」にできることになる。定期便の担当者は、毎週月曜日に行う全体朝礼の訓辞の録音テープ(CD)や、上司や部下や同僚の、そして顧客の気持ちを伝えに行く。そして入院者の気持ちをまた会社に持ち帰ってくる。毎週、このやりとりの経過と情報を専用ノートに書いて社内回覧することで気持ちを共有する。しかも担当者は入院者の家族にも定期的に連絡をとる。また病気の回復状況次第では、病室に仕事を持ち込んでもいく。

私が企業で目指すものは家族でもある共同体
 これらはともすれば単なる定期業務のように見えがちだが、これこそが仲間やお客様は入院者の回復を心待ちにしているという印象づけになり、不治の病にも打ち勝ち、また退院後の職場復帰の適応力の早期養成にもなると思っている。
 退院するときはそれこそ職場上げての歓迎となる。気心と顔が知れた上に、仕事のできる者がありがたいことに「入社」してくるようなものだからだ。企業にとってもこんなに喜ばしいことはない。
 もちろん、病み上がりなので、いきなり以前の担当業務に戻す事はしない。徐々に職場環境に慣れさせていく。個々人の差はあるが、だいたい1ヵ月から3ヶ月、長いもので3~5年かけてでも気長に見守る。中には元の体調に戻らず全開の仕事ができなくなるものもいるが、私は仕事に関しては全く問題にしていない。なぜなら、先述したように、私の作ろうとしているのは単なる社員ではない家族であり、共同体だからだ。それに応じた業務を創り出し、当の本人に担当してもらうことにしていくのが私の仕事だからだ。
 社員の長期入院は中小企業にとって大きなピンチだが、それをチャンスに転じられるかどうか、経営者の手腕と共同体としての会社のあり方が試されるといえるだろう。
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