拝啓 福岡県知事麻生渡殿
ライセンスメイト篇
平成10年1月号「特別寄稿」
時下益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。
先般は福岡県と中華人民共和国・江蘇省との姉妹契約5周年記念行事である「福岡県友好交流団の江蘇省派遣」のご案内をいただきまして誠にありがとうございます。国際交流センター様からのご案内には専修学校の理事長・校長宛となっておりましたので早速応募させていただきました。アジア諸国との友好・親善は私ども大賛成ですので、是非参加させていただき、民間レベルでの外交活動に励みたいと思っております。
しかし、交流団を編成し、スケジュールを決定するに際し、麻生知事にこれだけは、耳を傾けていただきたい事があります。それはスケジュールの中にある「南京屠殺館」への献花式であります。ハッキリ申しまして私ども学校の職員は全員反対です。それは以下の理由によります。
麻生知事に南京屠殺館への献花式を中止していただきたい理由 その1
いわゆる「東京大虐殺」は史実ではありませんので、それを史実として固定化している記念館への献花は日本軍による虐殺行為とその数30万人を認めることになります。なお、ご参考までに森王琢(もりおうみがく)氏の体験談「南京虐殺はなかった」と、大井満氏による「仕組まれた南京大虐殺」を同封させていただきます。是非ご一読下さいませ。
麻生知事に南京屠殺館への献花式を中止していただきたい理由 その2
日本軍による南京攻略とそれに伴う戦死者への慰霊であれば中山陵への献花で充分日中両国の英霊に対して表敬の意を表せるかとも思います。
麻生知事に南京屠殺館への献花式を中止していただきたい理由 その3
およそ、迎賓の原則はお客様に不快な思いをさせないで楽しんでいただく、この一言につきます。よって江蘇省当局はその原則にのっとり日本側に配慮してくれております。つまり、不快な感じを与えるだろうというところ(記念館のこと)には江蘇省当局からは全くもって一切来館要請はないということです。県当局の回答によれば、先方(庁)からは何も言ってこないが当方(県)で勝手に決めたということです。かくして先方による迎賓は踏みにじられる結果となっております。かかる理由からも献花式は中止していただきたいものです。
麻生知事に南京屠殺館への献花式を中止していただきたい理由 その4
さらに国政レベルであれ民間レベルであれ、外交は対等であってしかるべきです。当方だけが気を配りすぎているのはいかがかと思います。隣近所とのおつきあいでも一方だけが片方の家の法事に出るのは、そしてそれをもって礼節を通していると自分自身に言いきかせているのは余りみっともいい話ではありません。A家がB家の法事に出れば、同様の不幸事がA家にも発生した場合、B家もA家の法事に出るのがスジというものでしょう。戦争はお互いに累々たる死者を出しあって遂行する政治の延長戦です。かの毛沢東も「銃口から政権は生まれる」といっているではありませんか。要するに「お互い様」ということをどうぞお忘れにならないで下さい。一方だけが善で他はすべて悪(ワル)だ、などという歴史は人類史上ただの一度もありません。しかるに、そのように描かれ仕組まれているのが「南京屠殺館」なのです。だから献花して欲しくないのです。
私ども福岡の人(日本人)はそもそも考えてもいませんが、仮に『元寇』を説明するに「文永・弘安の屠殺館」なるものを建立して、その数「100万人」などと大書していたら、果たして江蘇省の人(中国人)は献花に訪れるでしょうか。私が相手の立場なら「クレイジー」の一言で片付けます。要するに、無視するということです。
麻生知事に南京屠殺館への献花式を中止していただきたい理由 その5
同時に知事というお立場をもっとお考えになるべきと思います。麻生渡氏個人として行動されるなら私は何も申しません。しかし、あなた様の行為は福岡県民の総意として恰好のPR材料にされているということです。つまり、「福岡県民は献花した」ということになるのです。江蘇省の人々の、というより中国共産党の幹部の皆様の歓心を買うこともビジネスの世界では大切なことです。決していけないとは申しません。しかし、こと、この一点に関してはどうぞ日本の戦死者(英霊)の側に、またそのご遺族の側におたちになるべきだと思います。
そもそも私を含めてそのような日本人の支持と投票によりあなた様は福岡県の知事に当選されておられるわけです。その福岡県は九州というよりいまや日本の「雄県」です。その知事たる麻生氏の行為は全国の知事の中でも相当の重みをもって受けとめられるはずです。つまり、良い意味でも悪い意味でも十分に「前例」になり得るし、「典型」になり得てしまうということです。他の県の知事もきっとあなた様に倣ってしまうでしょう。私はそのことを危惧するのです。どうぞ、日本人としての見識ある行動をとっていただき、江蘇省の人々の尊敬をかちとっていただきたいと思います。
私は、「真の友好や親善」はお互いの対立点や相違点を敬意をもって認め合うことからしか始められないと確信しております。
以上の点をもちまして私はあなた様の南京屠殺館への献花式に反対します。
なお、この手紙は各新聞社、各テレビ局、各雑誌社等に郵送させていただく予定です。つまり、知事の行為はガラス張りの中にあるということです。皆様が注目しております。どうぞ、勇気を奮って知事のみが有する「決定権」を行使なさって下さいませ。
最後になりましたが、私たちグループの関連会社の発行による『資格と成功の本』の原稿も同封いたしました。平成10年の1月号からしばらくの間、特別寄稿の頁で連載させていただく予定ですが、このような記事が掲載されないことを祈りつつペンを置かせていただきます。敬具
福岡県知事認可 専修学校 日本不動産専門学校
理事長 小菅亥三郎
寄稿者からのメッセージ
福岡県が中華人民共和国・江蘇省と友好姉妹契約を締結してから5年の歳月が流れた。官主導型で動いているこのプロジェクトが、いずれの側からのアプローチで開始されたものなのか、私は知る由もない。しかし、このような私でさえ、今回(平成9年10月26日~10月30日)、代表団・交流団に選ばれたということは、この事業の範囲の広がりを感ぜずにはおれないものがある。
今回、参加させていただいて感じたことは、福岡県企画振興部と国際交流課、財団法人国際交流センターの職員の皆様の並々ならぬ気配りとご苦労が、この企画の土台にあるということだ。紙面を借りて心から感謝の意を表する次第である。
それだけに〔江蘇省からの要請が全くないのにもかかわらず〕『南京屠殺館への献花式』 なるセレモニーがスケジュールの中に取り込まれていたことは残念で仕方ない。「蛇足」とはまさにこういうことをいうのだろう。彼らのご苦労がこのことで全く徒労に帰してしまっている。私たち民間は官主導型であるがゆえにそのスケジュールに異議をさしはさむことを手控えがちになる。わが国の国民性に根ざしたものか、利害関係のからみからかは定かではないが、遠慮がちになることだけは確かだ。
しかし、遠慮することが事柄を良くし、国益に利するのなら喜んで遠慮もしよう。しかるに今回の場合は全く逆だ。私は日本人として、今もなお黙して語らず、支那(大陸)に静かに眠っている英霊に対して顔むけできないことだけはすべきでないと思っている。明治・大正・昭和の先達に唾する行為をしなければ物質的に豊かになれないのであれば、はたまた国際交流や親善などという「おつきあい」ができないのであれば、喜んで現状に甘んずべきではないだろうか。きたる平成11年には必ず7周年記念行事も行われるだろう。しかし、その時は奥田氏とは一味違う『麻生色』をきっと出してくれるに違いない。かくのごときことを念ずるが余りあえて年初にあたって知事への書簡(平成9年9月30日付)を公開した。読者諸氏の賢明なご判断を深く仰ぐ次第である。