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本日創業 「あること」と「あらしめること」は違う

ライセンスメイト篇

平成11年12月号「サイレントマジョリティ 不況に勝ち抜く経営学講座5 教程その4」

使命感にめざめよ

 もうひとつ大切なことは、今日、事業を興こし、会社を設立したんだという初々しい気持である。昨日までのことはチャラにする勇気が大切。高村光太郎の詩ではないが、「僕の前に道はない 僕の後ろに道はできる」のである。道ばかり眺めていてはいけない、それはうしろばかり振り向いていることだから。道は毎日毎日原野を切り開いて作っていくものだ。そしてどんなに作っても「僕の前に道はない」。あればわざわざ自分がやらなくてもできる。誰でもできる。私しかできないことを神様はわざわざ与えて下さったのだとすべての経営者は気づかないといけないだろう。私は早く使命感に目ざめた者が勝ちと思っている。

歴史は今日始める

 朝出社していって、すでに出勤していたメンバーや、これから実際出勤してくるメンバーを見て、これが創業の顔ぶれであり、股肱と頼む者であり、今日の運命を共にしていく仲間だと、「例外なく」毎日思うことである。昨日までのメンバーはキチンと勇者としてアルバム化し、過去形にしていくことだ。そして、いつも歴史は今日始める心意気で全力投球することだ。

三度の食事を抜く

 朝食を抜き、昼食も抜くほど仕事に没頭することが大切。気づいたら真夜中の12時も回っており、夕食もとっていなかったというほど業務に惚れこむことである。そして、これを観念的に願望するだけでなく、現実にやってのけることが大切であり、決定打になる。

 それも1週間・2週間ではダメだ。10年・20年・30年の単位でやり抜く覚悟と実績が必要である。私の例でいえば毎日平均して15~6時間は働いている。休みは月に1~2日と思っていただいて結構。そして、これを20年やってきている。そして、今まで片時も「本日創業」を忘れたことはない。

単純にして明快な人生観

 ①今日健康か、②今日働く職場があるか、③今日打ち込める仕事にありついているか、これが20年このかたの座右の銘であった。単純にして明快な人生観こそが活路を拓く。私は以上の三点が満たされていれば、それこそ「幸せ」と実感するようにしている。その土台の上にこそ「本日創業」があり、であればこそ真底からの「日日感謝」の念がわきおこる。

国づくりも日々創業の精神で

 私たちの先輩諸氏はそれこそ「本日創業」の精神で国づくりを行ってきた。幕末から明治・大正・昭和とそれこそ息つぐ間もないほど激闘につぐ激闘、激戦につぐ激戦を重ねてきた。私たちがそもそも国語(=日本語)で読み書きし、国語(=日本語)で話しているということが先輩諸氏の戦いの凄さを物語っている。日露戦争で負けていれば、ロシア語圏になっていたであろうし、それより以前に日清戦争で敗退していれば北京語が義務づけられていたであろうことは想像に難くない。

 自らの働きの中に国家防衛と国家建設をガッチリと位置づけていたことが我が国の先輩諸氏のすごいところではないだろうか。彼らは片時も国をあるものとは思わなかったはずだ。日々あらしめ作っていくものだと感じていたからこそ、あれだけの大業をやってのけたのである。