護ろう国土、創ろう国軍
ライセンスメイト篇
平成9年7月号「サイレントマジョリティ」
自分の国は自分で護る
日本は今アメリカの軍事的被保護国になっている。国家防衛の任務は、日米安全保障条約によって、アメリカ軍がその任に当ってくれている。日本人の活力は専ら経済に専念し、その結果今や驚異的な経済大国に成長し、アメリカに次ぐ地位を占めるに至った。然しそれは時としてエコノミックアニマルと言う軽蔑に急転落するものでもあった。湾岸戦争、PKO論争、世界に何か事が起った時、人的貢献を忘れ唯経済的に協力すれば良いと言う風潮になっているからである。それでは日本には軍隊は無いのか。
独立国家で、国土防衛を他国に任せている国は世界にない。自分の国は自分で護る、これで始めて独立国家と言えるのだ。日本には自衛隊と言う軍隊があるではないかと思っている人が多いと思うが、実は自衛隊は軍隊ではないのである。
自衛隊出生の秘密
それではこれから自衛隊に就いて申し上げて見たいと思う。日本の自衛隊は、昭和25年8月、連合軍最高司令官マッカーサー元帥の命により、警察予備隊として発足した。新らしい日本国憲法が制定され、一切の軍備が放棄された日本がどうしてこんな事になったのか。それは朝鮮戦争が起きたからである。昭和25年6月25日、北朝鮮軍が韓国に攻め入り昭和28年7月27日迄3年余りに渉る戦争である。当然アメリカ本国より、マッカーサー司令官に対し韓国を支援するよう命令が下り、在日米軍を之に投入することになったのである。
この戦争がなければ、日本本土の治安維持は在日米軍だけで充分、従って警察予備隊を作る必要はなかったのである。扨ここで問題なのは、日本の自衛隊は自衛隊法と言う一法律によって存在しているが、憲法では第九条によって一切の軍備を禁じているのある。世界の独立国家で軍隊のない国は殆どと言っても良い程無い中にあって、日本は珍しい国なのである。
今の日本に軍人はいない
自衛隊と言う武装集団は、創設以来その身分は警察官なのである。今の日本には軍人は存在していないのである。戦後憲法第九条で一切の軍備を禁じ、自衛隊も又警察官であるのに、憲法第六十二条二項に「内閣総理大臣、その他国務大臣は文民でなければならない」と定めたのはどうした事であろう。これは将来憲法を改正し、軍の創設は可能である条項と解繹出来るのである。扨それではもう一度日本国憲法や自衛隊の創設された頃に戻って考えて見よう。
昭和27年4月28日、日本はサンフランシスコで戦勝国と講和条約を結んだ。それまでは連合軍の占領下にあって全く主権の無い状態、つまり国土と政府は在っても一切が占領軍の命令で対外的には日本の国家は存在しなかったのである。この主権の無い占領下に憲法も、警察予備隊も出来たのである。形の上では日本が作った事になっていても、実際は連合軍最高司令官の命令と指示によるもので、当時の状況では、不満はあっても無念の涙をのんで之に従わざるを得なかったのである。その後警察予備隊は保安隊になり、更に現在の自衛隊と名称は変ったが、その身分は発足当時と変らずである。
一刻も早い国軍創設を
装備も最新鋭の兵器を使用、訓練も日常生活も警察官でないのは明らかである。対外的にも軍隊と見られているこの人達の待遇を今の儘で良い筈はない。一日も早く国軍として憲法に明記、名実共に国土防衛の任務は勿論、世界の国々とも協調して応分の責任を分担出来る国家にならねばならないと思う。
憲法あっての日本ではない。国土と国家あっての憲法で、日本国民の意志が反映されてこそ本当の憲法である。独立国家の基本である防衛の任に当る日本の自衛隊を今こそ国軍として栄誉ある地位を確立する事が大切であると思う。日本の自衛隊はこの儘で良いのか、その選択が今国民に委ねられているのだ。
〔参考文献〕
柿谷勲夫「自衛隊が軍隊になる日」
佐藤和男「憲法9条、侵略戦争、東京裁判」