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進学をむかえる子を持つ親の皆さんへ

ライセンスメイト篇

平成9年3月号「サイレントマジョリティ」

学費は子供に負担させる

 大学や短大・専門学校へ進学する子をもつお父さん、お母さん方にとって頭の痛い3月がやってきた。まず第一に問題となるのは「出費」がかさむことだ。おそらくほとんどのケースは全額親が負担していると思う。まず、ここがマチガイ。わが家では伝統的に全額子供に負担させている。以下、そのケースを列記する。

 ①親が決めた学校に入学した場合 全額親が負担。

 ②子供が①以外で希望する学校に入学した場合、全額子供が負担。

 ②③にもかかわらず、親の希望する職場で働きながら通学する場合50%ずつ負担しあう。

 上記のようにケースを決めておくのがいい。勿論、学校というところは頼んで子供に行ってもらうところではない。本来は就職が目的であるのだから、就学期間は短くても一向に差し支えない。だから、子供には出来るだけ中学を出たら就職させようとしている。就職先まで探してくる。すると「高校だけはいかせて下さい」といってくる。親としてはやむなく「行かしてあげる」。ここが大事なとこだ。子供が希望して、親がそれを許可してあげる。この構図を崩さないことだ。親の希望ではなく、自分の希望(わがまま)を許可してくれた親に感謝させることが大学教育よりも大切な家庭教育なのだ。

 しかし、次にポイントなのは、高校だけは行かせてあげるが、次のことはちゃんと守りなさい、といって家事手伝いの約束をさせて紙に書かせて皆に見えるように貼っておく。こうして権利と義務を身体で覚えさせる。そして、もし上級学校をも目指しているのだったら、財政的負担は全くといっていいほどあてにはできないということをハッキリと悟らせておく。すると、①よほどの目的がない限り進学は断念して就職するに違いない。もし、それでも進学したいなら②自分で学費を稼ぐ覚悟に見合う進学目的をうちたてるに至るだろう。親としては①であろうと②であろうとかまわない。困るのは①でも②でもないケースだ。就職もしなければ進学もしない。しかし、これには一切の経済的支援をストップすれば簡単に解決がつく。つまり、家を追い出せばいい。一円も恵んでやったらだめだ。乞食にしてしまうから。

アルバイトは目的が大事

 高校時代から学費・学業のためにアルバイトをさせる。そしてそれを学費に充当させる。当然、大学にいっても同様のことをさせる。この場合、絶対いけないのは親が全額、学費や生活費を出してしまうことだ。そして、どうでもいい目的や遊びのためにだけアルバイトを経験させる親がいる。これはいけない。100%いけない。このことでどれだけ多くの学生が仕事をバカにするようになっているのかに気がついていない。要するに簡単に達成できる目的のために仕事を手段化する習慣がついてしまうということだ。学業のために働くというより、旅行に行くために働くという具合だ。

 働くということは、その会社の経営者、上司、先輩、また多勢の顧客、取引先の人々等のお世話になってはじめて可能となる。同時にアルバイトといえども戦力にするにはそれなりの手数と日数がかかる。しかるに、自分の働くことを覚えるまえに「見習レベル以前」の段階でやめてしまう。それは本人の就労目的が達せられたからだ。つまり、その程度の就労目的しかもっていない子供を就職させた側もいけないが、まずは親がいけない。親が本人の学業に絶対必要な学費を本人に稼がせる覚悟がないからだ。学費ということであるなら卒業証書という領収書をもらうまでは少なくとも同一場所で頑張るケースが今よりも出てくるだろう。つまり、ここから辛抱するという徳がひとつ身につくというわけだ。

 仕事をなめてかかる不心得者も大分少なくなるだろう。また、やむなくやめる時も、周囲は「卒業」だからといって諦めもつくし、祝福もしてくれるだろう。本人は本人で途中で止めるわけにいかない理由(=学業継続)のためにとにもかくにも○○年間頑張ったという自信がつくだろう。恐ろしいのは親の方針ひとつで子供はどういう方向にも育つということだ。ことを世のお父さん、お母さん方は是非判っていただきたい。悪いのは、政府でも景気でも、世の中でも時代でもない。そういう子供を育てた親である。