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「反抗期」、その命名に隠された「国家転覆」の意図

ライセンスメイト篇

平成13年5月号「サイレントマジョリティ」

子供の収奪と洗脳

 支那で共産主義革命を遂行した人たちを「革命第一世代」とすると、彼らがまずやったことは「土地の収奪」である。その彼らが権力掌握後に着手したことで以外と知られていないのが「子供の収奪と洗脳」である。彼ら第一世代は奪取した権力の転覆を恐れて、意識面における壮大な国家改造を試みた。

 それは陸続と続く第二世代の味方勢力への丸ごと転化である。そこで全ての生産手段の共有化・国有化の美名のもとに子供たちをその両親から引き裂き、集団生活を強いるようにした。そこで利用されたのが「人民公社」である。そこぞこに集められた子供たちにマルクス主義を叩き込み、親たちに体現されている「旧思想」・「反動思想」との妥協なき闘いを説き(アジリ)子供たちをしてその尖兵へと仕立てあげていったのである。

仮借なき言葉狩り

 しかし、使嗾させるといっても相手は所詮子供である。簡単な教則本を作って覚えさせる以外に手立てはない。そして、それに違反・背反する大人たちを共産党に告発・密告させるというわけだ。教則本の中で展開するのは何のことはない、ふだん何気なく使っている言葉から「反革命用語」・「反動用語」なるものを恣意的に選択し、使ってはならない言葉とする。かくして、彼らは概ね、全ての親たち、大人たちを反革命・反動として断罪する大義名分を手中にした。いわゆる「旧勢力」を共産党に拝跪させていく歴史的仕掛けといっていいだろう。こうして育った世代が後に「文化大革命」なるものを実行したとしても、それは彼らが施された初等・中等教育からすれば当然の帰結であった。子供たちから密告され、生命を断たれた親たち・大人たちは2,000万人とも3,000万人ともいわれている。

「労働天国」実は「労働監獄」

 ところで、彼ら第一世代は何を雛形に「子供の収奪と洗脳」をしたかというと、それは旧ソ連のピオニール(=共産主義少年団)である。ポリジェビキは「奪取した権力」(=ソヴィエト)の転覆を恐れ、当時の青少年にそれこそ徹底した集団洗脳教育を施した。第三インターナショナルという国際共産主義運動の総本山であるクレムリンの威光は絶大というより、絶対(=神)であった。まだ「労働監獄」という実相は露呈しておらず、虚構としての「労働天国」がまことしやかに信じられていた時代、史上はじめて実現した共産国家の雛形が即「世界標準」になった時代、そういう時代に支那の共産党がピオニールを模倣したとしても無理からぬことであった。

カンボジアでの適用

 後年、支那共産党の第二世代は自らの幼児体験(=原体験)をカンボジアで適用させている。シアヌークの承認のもとポル・ポトが集団生活させた子供たちによって殺戮された親たち・大人たちの数は200万人とも300万人ともいわれ、今日にいたるも正確な数は誰もわからない。当時、わが国のマスコミによって大量虐殺に関する支那・カンボジアの指導・被指導関係を暴露されそうになった支那共産党指導部は急拠、わが国に「パンダ」を贈り、大キャンペーンを展開させ、ポル・ポトの大量虐殺問題を後景化させている。しかし、煙にまいたとはいえ、歴史の真実を永久に糊塗し続けておくことはできない。やっとカンボジアにも国際法廷が設置され、いよいよポル・ポト時代に関する審理が開始されることになった。いうまでもなく、支那は依然として国際法廷そのものを認めようとしないし、その設置には病的なまでに反対している。汚れた過去が白日のもとにさらけ出されることを本能的に察知しているからであろう。

「反抗期」にスリ替えられた「自立期」

 自らの革命意思(=国家転覆意思)の担い手として、子供たちを使嗾させるのは何もソ連や支那やカンボジアの専売特許ではなく、わが国にも昭和20年代にその試みに着手した勢力があった。そこでいきなり新規開発されたのが「自立期」を「反抗期」とスリ替えた概念である。列記した国々のように「奪取した権力」をもたぬ彼らは集団生活による丸ごと洗脳教育のかわりに教育の現場で教え子である子供たちに「旧勢力」の象徴である親に「反抗」するようにささやいたのである。わが国の伝統的な教育規範であった忠君愛国や親孝行を革命運動の障害物として根底から破壊するためである。その結果、戦後生まれの第一世代である団塊の世代は、「とにかく親や大人たちに反抗しなければ、大人になれない」と徹底して洗脳されたのである。

日教組の解体なくして健全な国民教育の進展なし

 今日、彼らはわが国のあらゆる所で陣頭指揮を執っている。彼らの基調は「反抗」である。勿論、すべてがそうだといっているわけではないし、かつてそうであっても今はその迷いから目覚めているものもいる。私がいいたいのは、初等・中等教育の課程で親には理屈抜きでとにかく反抗せよ、そしてそれが自然の摂理であるかのように教えてきた勢力が、依然としてその存在を許される限り、彼らはマルクス主義にもとづく誤った教育論により、しかも昭和20年代にいきなり発明した「反抗期」なる概念によって相も変わらず子供をけしかけているという事実である。「反権威ノススメ」ともいうべき彼らのアナーキズム(無政府主義・無秩序主義)が満天開花したのが今日の世相だ。彼らは全く反省していないし、今にいたるも勤務時間内に組合活動をしている。そして、子供たちをけしかけ入学式や卒業式を混乱させている。そのため国旗敬礼には着席と腕組みで対応し、国歌斉唱の際は必死で歌わないでいるという。お手本を示しているつもりだろうが、結局は当の子供たちからもソッポを向かれていく。彼らは組織率こそ30%台に堕ちたものの第1党であることに変わりはない。国家と民族の未来・将来を託するわが子に「自立期」を「尊敬期」へと正しく指導してくれる勢力の伸長を心から願うものである。