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住吉神社横綱奉納土俵入り

フェイスブック篇

平成26年11月3日

福岡市博多区の住吉3丁目に住吉神社があります。ここで昨日の平成26年11月2日、(公財)日本相撲協会主催で横綱奉納土俵入りが行われました。白鵬、日馬富士、鶴竜の3横綱が堂々たる四股を踏み、土俵入りを果たしました。横田昌和宮司は地元財界と連携しながら国技であるわが国固有の伝統文化を再認識することにより、九州・福岡のまちづくり、地域自治の活性化等に繋げたいとの思いで、平成20年からこの行事を継続して開催しています。

元来、住吉大神は、相撲の神として吉田司家13世追風の時代から相撲関係者に崇拝されており神社の記録には、第47代横綱柏戸、第48代横綱大鵬まで九州場所に入る前に土俵入りを奉納されたと記されています。

神楽殿の前に設けられた99の関係者席も、その周りに敷き詰められたシート席も善男善女で一杯でした。天気予報では雨が心配されていましたが、午後0時30分からの式典、1時からの正式参拝、1時30分からの奉納土俵入りと続く間は晴れていました。その後、行事の閉式を確認したかのようにドシャ降りになりましたが、全国に8万社余りある神社と八百万の神々が応援して下さったのだと思います。なおこの日の参拝客は6千人余りでした。

今を遡ること740年前の文永11年(1274)の秋,わが国は蒙古による襲来を受けましたが、北条時宗と御家人はこの地博多で撃退しました。733年前の弘安4年(1281)の再襲来も同じくこの地で挫折せしめました。鎌倉幕府、亀山上皇の時代で、世に言う「元寇」です。しかし、かつて侵略してきたその子孫達はいま日本風の髷を結い、土俵の力士としてわが国の伝統を担う立場になっています。

野球が報酬を求め恩を仇で返す個人主義の局地を行く集団スポーツとすれば、相撲は親方(父親)を頂点する弟子(子供)達を「部屋(家族)」という形に纏め上げ普遍化した共同社会の神事です。提示された年俸の誘惑に負け、昨日までお世話になった監督や恩師を裏切り敵方に寝返る背徳の文化の対極を行くのが相撲です。家族に移籍がないように、部屋を渡り歩くことのない世界だからこそ稽古に精進できるのだと思います。土俵という戦場で掴み取った賞金を自分の懐に入れず親方にそのまま預ける相撲は、知名度と待遇を求めてさまよい歩く野球にない庶民性があります。土俵さえあればどこでも出来る相撲ほど国土の狭隘な国に適したものはありません。今回期せずして横田宮司からお招きを受けることとなりましたが、相撲について再認識する機会を与えて頂いたことに心から感謝する次第です。

かつての敵国人を日本人に同化してしまう相撲はわが国が世界に誇っていい伝統文化だと思います。反則もなければ、武器も使わない身奇麗な勝敗の決し方や、共同生活で親方を中心とした部屋を護っていく作風ほど、今の時代に求められているものは有りません。多くの学校に相撲部が出来ることを願っています。