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「共産党宣言」と「はだしのゲン」

フェイスブック篇

平成25年8月22日

西暦1870年から1871年にかけてプロシャ(後のドイツ)とフランスの間で戦われた戦いを普仏戦争というが、勃興途上のプロシャは国民皆兵制とモルトケの指導による参謀本部の両輪でフランス軍を完膚無きまでに叩きのめした。欧州各国の全てがフランスの勝利を予想したのに結果は全く逆に出た。

プロシャの勝因で見落とされがちなのが次の点だ。国内では徹底してその活動を禁止し、その著作を発禁処分にしていながら、敵国フランスに送り込んだアジテーターの存在がある。ビスマルクが解き放ったその野獣をモルデガイという。

不幸なのはモルデガイの説く「万国の労働者、団結せよ」のスローガンを真に受けたフランスの若者たちだった。進軍してくるプロシャ兵を団結すべき仲間とみなし、同胞として対応したからたまったものではない。まるでアホウドリを狙い撃ちするようにプロシャ兵からなぎ倒されていった。

モルデガイの手によるパンフレットは敵国フランスの兵士の心からプロシャに対する敵愾心を奪い、憎悪の念を自分たちの上官や指揮官に振り向けるためにはこの上なく便利なツールだった。作戦が図に当たったビスマルクは手放しで喜んだ。

「カール・マルクス」と「共産党宣言」の名で知られるモルデガイとそのパンフレット(アジビラ)は後の世で恐ろしい力を発揮する事になるが、昨今騒がれている「はだしのゲン」もそのパンフレットのような気がしてならない。